種はだれがつくるのか③ ~風から虫へ

樹木の誕生の過程において、樹木がつける花はイチョウやスギ・ヒノキなど風が花粉を運び受粉して種を作る風媒花が主流でした。
その後昆虫が繁栄してくると目立った花をつける植物が多くなってきました。

雄花と雌花が大きくなり、昆虫が花粉を運ぶ花の形となったのです。

これを「虫媒花」(ちゅうばいか)といいます。
虫媒花は大量の花粉を飛ばす必要がないため、花粉の量は少なくてすみ、虫が運んでくれることで確実に受粉できます。

花のつき方と花粉をだれが運ぶかとは密接な関係がありますね。

また花そのものも、一つの花にオシベ(花粉)とメシベ(子房)をもった花「両性花」(りょうせいか)が生まれました。(因みに、一つの花にオシベとメシベ どちらか一方しか存在しない花は「単性花」(たんせいか)と言います。)

これらは、花粉は多くはありませんが目立った大きな花を持ち、蜜や良い香りで昆虫を引き寄せ、チョウやハチ・アブなどの昆虫に花粉を運んでもらいます。

確実に花粉を運んでもらうため、花も昆虫の行動や嗜好にあわせて花の構造や形・色にはそれぞれ独特の個性があります。種類が多く競争が激しい熱帯などの植物は、昆虫の目を引くためでしょうか、鮮やかな色の花が少なくありません。

昆虫の視覚は人間よりもずっとすぐれていて、アゲハチョウなどは紫外線の範囲も見えるようですから、花のなかには私たちが分からない色をつけている花もあるかもしれません。

今の虫媒花への植物の進化は昆虫の進化とともにあり、繁殖のひろがりは、動物では特に昆虫と鳥類のおかげと言われています。

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もし、昆虫がいなかったらどうなっていたでしょう。

地味な風媒花の植物が繁栄し、花の持つ大きな美しい形はむろん美味しい蜜や良い香りは不要になります。

美しい花がなければ、人が存在していたとしても、潤いのある生活や環境、芸術さえも生まれなかったかもしれません。

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