誕生日の木 12月13日
クリスマスが近づいてきました。もう、クリスマスツリーは飾られましたか?
クリスマスツリーと言えば「モミの木」ですが、実はモミの木よりもクリスマスツリーに使われている木があるのをご存知ですか?
それが12月13日の誕生日の木「ドイツトウヒ」です。
<ドイツトウヒ(独逸唐桧)>
マツ科トウヒ属の常緑針葉高木。
学名 Picea abies (L.) Karst. 英名 Norway spruce
別名 オウシュウトウヒ、ヨーロッパトウヒ
ドイツの森に多い、唐風のヒノキという意味合いでドイツトウヒと呼ばれています。
日本では明治時代に移入されました。成長が早いため、戦時中に供出したスギやヒノキの代替品として、ヒマラヤスギとともに各地に植えられたそうですが、暑さが苦手な性質のため北海道に多く、防雪林として使われているそうです。
葉は長さ2cmほどで、暗緑色で光沢があり、先端は鋭くとがっています。揉むとスギとヒノキの中間のような、クセの少ないさわやかな芳香があります。葉枕(ようちん)が発達しているのも特徴です。
葉の寿命は長く、かなりの年月枝についているそうで、これは、夏の生育期間の短さに対する適応だと考えられています。気温が上昇した直後から十分な光合成をできるようにするためです。
葉の量も多いので、この樹木の森林は暗くなり、ドイツの「黒い森(シュヴァルツヴァルト)」の主要樹種としても有名です。
雌雄同株で、5~6月に開花します。雄花、雌花ともに頂生。
球果はトウヒ属の中では最も大きく長さ10~20cmの円柱形又は長楕円形です。
鳩時計のおもりは、この形をかたどったものだそうです。
トウヒ属とモミ属は非常に似ているため素人目には区別がつきにくいのですが、実のつき方で見分けることができます。
写真のように、トウヒは球果が下向きに垂れ下がってつきますが、モミ属は上向きに立ち上がるようにつくのです。
トウヒ属の樹木はスプルースと呼ばれ、材は建築用材などの他、バイオリンやギター、ピアノなどの楽器にも使われています。材としては軽い部類に入るのですが、音の響きには軽い材が適しているそうです。
また、木肌が白くて美しく、木特有のにおいも少ないことから、蒲鉾板や棺桶、卒塔婆の材料にもなっているそうです。
雨にほふドイツトウヒの森に入り耳しろじろとそよぎはじめつ
久我田鶴子『雨の葛籠』