カナメモチ

スタッフの正貴です。
以前に紹介した赤い若葉だったカシやキンモクセイも、すっかり緑色になりました。
鮮やかな緑を見るたび、目には青葉山ホトトギス初鰹という有名な句が頭をよぎります。
気温はまだ肌寒い日もありますが、景色は初夏になりましたね。

さて、そんな中でも変わらずに赤い若葉が目立つ樹があります。今回ご紹介するカナメモチです。

モチ、と名前がついていますがモチノキとは関係なく、バラ科の植物になります。モチノキに似ているからモチの名を冠されたようですが、たしかに葉っぱの裏を見てみるとのっぺりとしていて、モチノキ科の特徴のように思えます。カナメ、というのはこの木が扇の要(カナメ)に用いられていたことに由来します。形を留める重要なパーツを任されるほど、堅い木だということですね。他にも堅さを生かして農具の柄などにも使われていたそうです。

カナメモチの別名にアカメモチというのがあります。赤い芽のモチということで、こちらのほうが見た目と名前が一致しやすいのではないでしょうか。

赤い新葉が美しく、また刈り込みにも強いため、街路樹や公園樹、生垣などの庭木としてよく見られます。葉を刈り込むと新しい葉が出てきますが、この葉ももちろん赤い色をしていますので、刈り込みを繰り返すことで赤い葉を長く楽しむことができます。通常の管理では春、初夏、秋と三回の刈り込みをしますが、より多く刈っても問題ないということからも、その耐久性が分かるでしょう。

葉ばかりが目を引きますが、カナメモチの花も美しいものです。「にぎやか」という花言葉の通り、白くかわいらしい花がわいわいと囃し立てるように集まっています。花期は4~6月と今頃ですが、赤い葉を楽しむために、花は刈り取られることも多いようです。

街中で見かけることが多いカナメモチですが、山へ行くと野生で見かけることも多々あります。ですが山のカナメモチは街のものほど赤く色づくことはなく、若い個体や日陰の個体だとまったくと言っていいほど赤くないものも見られます。これは品種の問題です。街中のカナメモチはより赤色が美しく目立つように作られた品種で、よく見かける鮮やかな赤色のカナメモチは、そのほとんどがニュージーランドで作られたレッドロビンという品種です。従来の品種よりも赤色が強く、また病気にも抵抗性があるということで広まったそうです。

同じ品種であっても、日向と日陰では随分と色が違って見えます。これは前回お話した葉の中の色素が関係しています。日向はより太陽の光が強いので、光から守るためにより鮮やかな赤色をしている、ということです。

 少し街中を歩けば見つかるカナメモチですが、場所によって色の違いを見てみると面白いかも知れません。今は花も咲いている時期なので、花を探すのも一興ではないでしょうか。

カナメモチ(要黐)

【学名】 Photinia glabra

バラ科 ナシ亜科 カナメモチ属 常緑小高木

高さ:3~5m

花言葉:にぎやか

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