キース・ヘリング展

先日、兵庫県立美術館で開催されているキース・ヘリング展に行ってきました。

公式サイト https://kh2023-25.exhibit.jp/


キース・ヘリングはストリート・アート、またポップ・アートの先駆者であり、1980年代のアメリカのアートシーンを牽引する代表的な美術家の一人として知られています。
彼のポップな作風・鮮やかな色彩は、死後30年以上経った現在でも日本のみならず世界中で愛され続けています。

私が初めてキース・ヘリングを知ったのは、まだ彼が生きていた頃…確かその頃良く読んでいた音楽雑誌に彼の作品が紹介されていたのを見た時だったと記憶しています。ポップで大胆な色使いに一目で魅了され、大好きになりました。
ただ、その頃は彼についての知識は何もなく、どこかで彼の作品を目にしては「あっ、キース・ヘリングだ!」とわかる程度で…💦
でも今考えてみると、それってスゴイことですね。唯一無二の作風ってことですから。


彼の作品は「エイズ予防啓発」「LGBTの認知」「核放棄」「反アパルトヘイト」など政治的な問題をテーマとしたものがほとんどです。どれも重いテーマですが、それをポップで漫画チックに表現することで、より視覚的にメッセージが伝わってきます。彼の作品の特徴である明るい色使いの中に、逆に誰しもが持つ「心の闇」とか「狂気」のようなものを感じてしまうのは私だけではないと思います。

また彼の作品は、様々な形で著名ブランドとのコラボレーションを実現しています。
日本では某ブランドとのコラボTシャツが有名ですね。日本におけるキースへリングの知名度向上に大いに寄与したと言われています。
私も15年ほど前に購入したTシャツを未だに着続けています。穴があいたりして結構ボロボロなんですが、どうしても捨てることができません😅
一時は大切にとっておこうかとも思ったのですが、「芸術はみんなのためのもの。みんなの隅々にまで届かないなら、芸術は無だ」そう言って多くの人々に作品を届けたいと願っていたという彼の言葉を知り、タンスに保管しておくよりは、とことん着続ける方が彼は喜んでくれるかな、と思って着ています。さすがに外には出られないので、家の中だけでですが💦因みに新しいTシャツも最近某ブランドでゲットしたので、そちらは頻繁に着て外出しています😆

1990年に彼が31歳の若さでエイズによる合併症で亡くなった時にはショックを受けました。
当時はまだまだエイズは恐ろしい不治の病と思われており、悪霊に取り憑かれる奇病だとか、ふしだらで節制のない人間がかかるものといった誤った考えや患者に対する偏見がまかり通っていました。また当時のアメリカでは感染者に男性の同性愛者が多いことから、同性愛者へのヘイトと差別につながっていました。
キース・ヘリング自身も同性愛者であったそうですが、彼もまた死の恐怖を味わったであろうし、様々な差別や偏見を受けたことがあったかもしれません。カミングアウトすること自体、当時はものすごいことだったと思います。
現在、それらの差別や偏見が全て無くなったとは言えないのかもしれませんが、昔に比べたらエイズという病気に対する理解やLGBTに関する認知は格段に進んでいると感じます。(ただ、最近のLGBTはちょっと変な方向に向かってしまっているとも思いますが…それはまた別の機会に💦)

今もキースが健在だったら、彼の目に今の時代はどう映ったでしょうか。彼は、どんな作品を生み出していたでしょうか。
私は、彼は最後まで、この世界を信じていたような気がします。この世界…というか、人や未来を。
だからこそ彼の残したメッセージ(作品)は普遍的なものとして愛され続けているのかもしれません。

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