彼岸花

お彼岸を過ぎて、急に涼しくなりました。ついこの前までエアコンなしでは眠れない暑さだったのに、夏布団だけでは少し肌寒く感じるほどです。まだまだ日中は気温が高くなる日もありますが、そこかしこに秋の気配を感じるようになってきました。

先日のこと、道路脇に彼岸花が咲いているのを見かけました。
あれ、こんな所に彼岸花ってあったっけ? 
その道は日常的に通る道なのですが、これまでその場所に彼岸花が咲いていた記憶が全くなかったのです。
”確か彼岸花は球根で育つ植物だったはず、誰かがこんな所に植えたんだろうか?”そんな疑問が湧きました。
片側は山肌、反対側の崖の下は川という、車が1台通れるぐらいの細い道です。誰かが球根を植えたとしても、そんな所に、わざわざ植えるメリットは全くないように思えました。

なぜそんな場所に彼岸花が咲いていたのでしょうか?

彼岸花は、基本的には種子ではなく球根によって増えるとされています。しかも、自然状態では種子をつけにくい性質があり、日本に広く分布している彼岸花の多くは三倍体で、種子を作ることができません。つまり、誰かが植えたか、球根が何らかの形で移動してきた可能性が高いようです。

考えられる理由としては…
人の手による植栽の痕跡
 昔、人の手によって植えられた球根が土中に残っていて、長い年月を経て自然に咲いた可能性。
動物や水による球根の移動
 球根が土と一緒に流されたり、動物の掘り返しによって移動した可能性。
 特に山道のような場所では、雨水の流れが球根を運ぶこともある。
人が持ち込んだ可能性
 山道沿いに住む人や通る人が、意図的に植えたか、何かの拍子に球根が落ちて根付いた可能性。
群生地からの拡散
 近くに群生地がある場合における、球根が少しずつ広がっていった可能性。

可能性として考えられるのは、そんなところでしょうか。

道路沿いにはお寺があり、そこの墓地には彼岸花が咲いていたような記憶があります。もしかしたら、以前その道路にも誰かが彼岸花を植えていたのかもしれませんね。その時の球根が土中に残っていたのかもしれません。または小動物によって運ばれたか…。山の上の方で誰かが植えていたのが流れ落ちてきた可能性もありますね。分球による増殖は種子増殖よりも時間がかかるため、私の目にはいきなり彼岸花が咲いたように写ったのかもしれません。

 原産地である中国には二倍体の彼岸花も存在し、種子繁殖が可能だそうです。
日本の彼岸花が三倍体になった理由は、偶然の交配と人の営みが重なった結果と考えられています。

この「二倍体」「三倍体」というのは、遺伝学や生物学で良く使われる言葉で、染色体を何組持っているか…ということです。例えば、ヒトの染色体はすべて2本一組になっているので2n=二倍体です。 それがすべて1本ずつなら一倍体、3本ずつなら三倍体、4本ずつなら四倍体です。彼岸花は三倍体ですが、三組あるものを2つに分けるのは難しいので、普通の雌雄による繁殖はできなくなります。
次回はこの「二倍体」「三倍体」という倍数性について少しお話できればな…と思っています。

彼岸花の基本情報

【和名】彼岸花(ヒガンバナ)
【学名】Lycoris radiata
  ヒガンバナ科ヒガンバナ属
【原産地】中国(日本には古代に渡来したとされる)
【草丈】約30~50cm
【開花時期】秋のお彼岸(9月中旬~下旬)
【繁殖方法】球根(鱗茎)による分球。日本の彼岸花は三倍体で種子を作らない。
【毒性】全草に毒あり。特に球根にリコリンなどのアルカロイド類を含む
【別名】「曼珠沙華」「死人花」「地獄花」「幽霊花」など、不吉な名前も多く、墓地に咲くことや毒性に由来する。
【仏教との関係】「曼珠沙華」は仏典に登場する天上の花で、「天界に咲く赤い花」を意味する。彼岸の時期に咲くことから、先祖供養や死者とのつながりを象徴する花とされる
【花言葉】赤:「情熱」「悲しい思い出」「再会」「あきらめ」など
     白:「また会う日を楽しみに」「優しい思い出」
    黄色:「深い思いやり」「陽気」

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