盗伐

12月になりました。カレンダーも残り一枚。なんとなく気ぜわしくなってきましたね。
昨日の京都はうんと気温が下がり、初雪が観測されました❄❄
我が家の庭もうっすらと雪景色。いよいよ冬本番ですね。

さて、先日、気になるニュースを見ました。

「激怒しかありません」宮崎で相次ぐ山林無断伐採の実態 -被害者の悲痛な叫び・伐採業者は「盗伐ではなく誤伐」と主張-
自分の山林を無断伐採された所有者が、伐採業者や山林ブローカーなどを告訴したものの、検察では不起訴処分となり、納得できずに改めて民事訴訟を起こした、という内容の記事でした。
 
山林で木を伐採する場合は、市町村に伐採届を出すよう法律で義務付けられており、違反すると森林窃盗の罪などに問われます。
無断伐採のうち、木を盗む目的で山林の所有者に無断で木を伐採することを「盗伐」といいます。
 
宮崎県で報じられた盗伐事件は、決して一地域の特殊な問題ではありません。
林野庁の調査によれば、全国で毎年70〜80件もの盗伐・無断伐採の相談が寄せられています。広大な山林の中で境界が曖昧になり、所有者が高齢化や都市部在住で現地を確認できない状況を背景に、違法伐採は「誤伐」と主張されやすく、発覚が遅れるのです。また最近の円安による輸入木材価格の高騰も少なからず「盗伐」に影響しているのではないかとも言われています。
 

今回の記事を読んで、私が特に思ったのは、『監視・法的対応の困難さ』についてでした。
森林窃盗は刑法上の窃盗罪に該当するのに、警察・司法関係者が林業に詳しくないこともあり、立証や境界確認が難しく、刑事手続が進みにくいの状況になっているそうです。

山林の境界線や所有者が不明確なのは、日本の山林における大きな問題点の一つなのですが… 
仮に「誤伐(間違って伐ってしまった)」ではなく「盗伐(他人の木だと認識して伐った)」だと認められたとしても、賠償額はこれまでの事例によると驚くほど少額で、裁判費用にすらならないそうです。そのため泣き寝入りする所有者も多いとか…😭
「誤伐」だったと言い張ったら、それがまかり通ってしまう…
許されることではないと、私は思っています。
 
盗伐は単なる窃盗ではなく、地域の森林資源を奪い、持続可能な林業の基盤を崩す深刻な社会問題です。
 
 

盗伐をなくすためには、2つの視点が必要ではないでしょうか。

1つは、『森林を産業として育てる視点』です。

日本の林業は、戦後に植えられた杉やヒノキが伐期を迎え、資源として活用できる時代に入っています。
  • 木材価格の安定化:盗伐の背景には価格変動があります。適正な価格で流通させる仕組みが必要です。
  • 境界の明確化:測量技術やデジタル地図を活用し、所有者と事業者が安心して伐採できる環境を整えること。
  • 地域雇用の創出:林業を持続可能な産業として位置づけ、若者が関わりやすい仕組みを作ること。
産業としての森づくりは、盗伐を防ぐだけでなく、地域経済を支える力となります。
 
そしてもう一つの視点は『森林を自然再生として育てる視点』です。

森林は単なる資源ではなく、生態系を支える基盤でもあります。
  • 多様な樹種の再生:単一樹種の人工林から、広葉樹を含む多様な森へと再生することで、災害に強く、豊かな生態系を育む。
  • 地域住民との関わり:森を散策し、学び、利用することで「守る主体」が広がる。盗伐の抑止にもつながります。
  • 気候変動への対応:森林は炭素を吸収し、温暖化防止に寄与します。盗伐はその機能を奪う行為です。
自然再生としての森づくりは、未来世代への贈り物でもあります。

 

盗伐をなくすためには、『産業』と『自然再生』の両輪を回す必要があると考えています。

具体的には…
• 行政・警察・所有者の連携強化
• 境界確認の徹底とデジタル化
• 森林資源の適正な流通と価格維持
• 地域住民の参加による「見守り」 などがあげられます。

盗伐を防ぐことは、森を守ること。そして森を守ることは、地域を守り、未来を守ることです。

森は資源であり、生命のゆりかごでもあります。産業としての森づくりと自然再生としての森づくりを重ね合わせることで、盗伐のない持続可能な未来を描くことができるのではないでしょうか。

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