きのこの話
きのこの美味しい季節になりましたね。
京都は松山が多く、近郷ものや丹波産の品質の良いマツタケが手に入り、秋の定番の土瓶蒸しやマツタケご飯は庶民の味でした。戦時中は京都の里山の林家はマツタケをリヤカーで売り歩いたという話も聞きます。
マツタケは元気な松山がないと発生しません。
今日の里山は薪・柴などの燃料や肥料としての活用がされないため、山の養分が蓄積し、コナラ・シイ・カシなどが成長しており、常緑の照葉樹にもどりつつあります。松はこれらの樹木に対して競争力が弱く、痩せた山で生き延びる種ですが、そのためマツタケを発生させるためには、他の広葉樹をのぞいたり、地表を掻いたりして清浄な松山を作る必要があります。
マツタケは松の木の細根と共生する菌根菌の花(子実体)です。マツから栄養をもらって、代わりにマツが水分や窒素またリンなどのミネラルを吸収するのを助けます。このような共生型のきのこは、松林では日本のトリュフと呼ばれるショウロ(松露)があります。
松露は砂質土の松山に出来やすいきのこで、春に黒松林の地中にできます。私も小学生の頃は海岸の松林に住んでいて、近所の友達とまるで宝探しのように、少し頭の出た松露を見つけ、それから線状に砂を掘って丸くて白い松露の採取に夢中になった時があります。
さて、マツタケの生産ですが、今は長野県や岩手県産が9月に出、10月には丹波産や広島産も出てきますが、清浄な松山が減ったため、生産量が少なく、流通量の反比例で外国産の10倍もの値段です。京都第一市場では8月に中国産のマツタケが並び、せり場はその香りに満ちて、もうお腹いっぱいになります。
共生型のきのこは、生きた細根との相性や他の菌糸に負けない環境が必要なため栽培がむつかしく、これまで森林の発生環境を整えてやることが大切とされてきました。しかし、ナラ・ミズナラ林で発生するホンシメジや、カラマツ林で採れるハナイグチなどは研究が進み人工栽培の成果が出てきています。
今は栽培きのことして、シイタケ・エノキタケ・マイタケ・ブナシメジ・ヒラタケなど多くの種類のきのこがお店に並びますが、これらはすべて木材腐朽菌で枯れた樹木のセルロースやリグニンを分解して成長します。
またきのこの仲間には、セミなどのサナギに寄生して成長する冬虫夏草とよばれる漢方薬に使われるきのこもありますが、これも最近人工栽培ができるようになったとのことです。
きのこの仲間にはアミノ酸やミネラルが多く美味しいきのこもありますが、本来森林の樹木の生長を助けたり、枯れた樹木や落ち葉を分解し、多くの生物の栄養・肥料を作ったりして森林の物質循環に大きな役割を果たしています。
もうちょっと写真が欲しいですね(´Д` )
京都市の松山が、次々減っていくのが寂しいデスネ(ToT)