アカメガシワ
スタッフの正貴です。
端午の節句ということで、柏餅をいただきました。昔は桜餅と勘違いし、柏の葉も食べれるんだと思っていたものです。
さて、今回ご紹介する植物は、この柏と名前しか似ていない、アカメガシワです。名前だけ聞くと「見たことない、どんな植物?」となる人も多いかと思われますが、きっと皆さん見たことがある植物です。なにせアスファルトの隙間から生えてくるので、よく道端にも生えているからです。
アカメガシワという名は、新芽が赤いことに由来します。柏が生えていない地域では、このアカメガシワの葉を用いて柏餅を作っていたという逸話もあり、そこからアカメガシワの名がついたそうです。
アカメガシワは先駆種と呼ばれる樹種の一種です(パイオニア種とも言います)。先駆種とは先駆けるという字の通り、空き地など切り開かれた場所に最初に生えてくる種類を指しています。
先駆種は葉が大きく、成長が早い性質を持ちます。より多くの光を浴び、大きく成長しようというのが先駆種の戦略なのです。アカメガシワのような先駆種が最初に生えることで、直射光の差す空き地に陰ができ直射光に弱い植物が陰に育ち、やがて森を作っていくのです。アカメガシワはいわば、森を作る最初の土台作りを担っています。
アカメガシワの役割はそれだけではありません。大きな葉は薄く食べやすいため、多くの虫が食事のために集まります。葉には蜜腺と呼ばれる蜜を分泌する部位があり、アリなどの昆虫がこの蜜を求めてやってきます。アカメガシワは多くの虫にエサを提供することで、生態系の根幹も担っているのです。
そんなアカメガシワですが、人々からは嫌われることが多いかわいそうな木です。空き地などに生えてすぐに成長するため、処理をするのに骨が折れること、虫を集めやすいこと、まっすぐに育たないため、木材として活用しにくいこと、等の理由が挙げられるでしょうか。
ですがすぐに大きくなるのも虫を集めるのも、生態系を考えるとどれも長所であり、嫌いだというのはいわば人間のエゴかもしれません。
街中でアカメガシワを見つけたときは、一度そういった人間主体の考えを脇に置いて、生態系を縁の下から支えている姿を見てあげてください。そのたくましさを見習いたいものです。
アカメガシワ(赤芽柏)
【学名】 Mallotus japonicus
トウダイグサ科 アカメガシワ属 落葉高木
高さ:5~10m
花言葉:「澄んだ心」「繊細」