薪
スタッフの正貴です。梅雨入りし、最近はすっきりしない天気も増えてきました。
私たちは山林で仕事をしていますが、雨の中での作業は危険が伴うため、雨天時は野外仕事が中止になることが多々あります。では雨が降った日は何をしているのかと言いますと、運び入れた木を割り、薪を作っています。
この薪は京都森林整備隊の事務所で販売しております。
そこで、今回はどんな木を薪として販売しているのか、紹介したいと思います。
当社で扱っているのは主にナラ、カシ、クヌギ、アベマキ。これらをミックスした形で販売しております。これらは火持ち・火力ともに十分だと言われている樹種になります。
まずはカシ。燃料のカシと言えば備長炭の原料であるウバメガシが有名ですが、当社で扱っているのはよく自生しているアラカシが多いです。樫の漢字が示すように、堅く材が詰まっているため、火持ちがいいのが特徴です。
次にナラですが、ナラはコナラを主に扱っています。シイタケのほだ木としても用いられる樹種で、カシと同じく薪としても有名な木です。
クヌギはナラによく似た樹皮をしており、薪の状態で見分けるのは少し難しいです。燃料としてもナラやカシに引けを取らず、十分な火力を発揮してくれます。
アベマキは一般的には聞き馴染みがないかも知れません。ナラやクヌギに似ていますが、樹皮がより分厚くコルク質で、指で押すと弾力が感じられます。
これらの木はよく燃える木ですが、やはり切ったばかりの状態だと水分が多く、なかなか燃えてくれません。なので切ったあと、一年以上乾燥させた状態のものを販売しています。
上記の他にも、スギやサクラ、マツも扱っております。
サクラはよく燃えるという人とあまり燃えないという人、どちらもいて判断が難しいです。ですがそもそもサクラ材の供給が少ないため、あまり販売することがありません。多くの人はサクラは残したがるので、伐採することが少ないためです。伐採するものの多くはすでに枯れており、薪として使えないことが多いですね。
サクラの材としての利点は、その香りが挙げられます。よく燻製チップとしても用いられますが、斧で材を割ったとき、燃やしたときにもふわりと春の香りが匂い立ちます。乾燥させても匂いが残るので、なるほど燻製チップとして重用されるのもうなずけます。
針葉樹としてよく売っているのはスギです。スギは火付きがよく、新聞紙などの火種から火を大きくするのに最適です。ただしすぐに燃え尽きるため、スギだけで長時間火を保とうとすると大量の薪が必要になります。ナラやカシなどが主役だとすれば、こちらのスギは名脇役…といった感じでしょうか。
スギの特徴をより尖らせたものがマツです。つまり、すっごく燃えやすく火力も強いが、わずかな時間で燃え尽きる、ということです。これだけ聞くと火つけ役としてはスギよりも適しているように思えますが、一般の方にマツを売ったことはありません。マツを燃やすとススが大量に発生し、目に見えて黒い煙が立ち込めます。これではバーベキューをしても、せっかくの食材が黒くなってしまいますね。
バーベキューに使うには問題があるマツですが、これをよく燃やしている場所があります。京都の夏の風物詩、五山の送り火です。実は大文字ではマツを燃やしているのです。火力が強いため遠くからでもよく目立ち、夜の京都に燦然と大の字を浮かび上がらせています。
薪材も適材適所、それぞれに適した活躍の場がある、ということですね。
これから暑い夏がやってきます。今年の夏休みはキャンプやバーベキューなど自然に囲まれて過ごすという方は、ぜひ当社の薪をご利用ください。ナラやカシのミックスは事務所にいくらかストックをしておりますので、すぐにお持ち帰りいただけますよ。