ツバキ

 

ヤブツバキ01

ヤブツバキ

 

 ツバキ(椿)はその名のとおり春を代表する樹木の一つで、正しくはヤブツバキとよばれます。
この仲間には東北地方のユキツバキや秋に咲くサザンカなども含まれます。

常緑で比較的に日陰や寒さに強く、端正で長く鑑賞できる花で、接ぎ木や挿し木が容易なため、古くから庭園樹として植えられてきました。

ヤブツバキ

ヤブツバキ

ヤブツバキ

ヤブツバキ


交配も容易なため、江戸時代以降多くの園芸品種が作られ、いまでは2000を超える品種があるそうです。
花弁(花びら)も、赤や白、ピンクや斑入り…、また一重咲きや八重咲きなどがあります。
雄花の形も通常の筒状から放射状に広がったものまであります。

オトメツバキ

ヒゴツバキ


新しい園芸品種はヤブツバキとユキツバキまたサザンカとの交配で作られます。
交配が容易なのは、
・これらの種が挿し木や接ぎ木でクローン増殖ができること、
・近縁であること、
・自家受粉(自分のおしべとめしべで実をつくること)ではなく他花受粉(ほかの株との受粉で実を作ること)の種であることから…などのためで、
それゆえ、多様な花が生まれてきました

京都は寺社の庭園が多く、茶の湯の茶花としても良く使われ、多くの品種がありますが、京都府植物園には数百の園芸品種が植えられています。
日本原産ではカメリア・ヤポニカ(Cameiiia japonica)として中国を経由して欧米に広まり、そこでも改良されて世界中に愛好家がいる数少ない樹木です。

 

サザンカ

サザンカ

サザンカ

サザンカ

庭園樹としてよく植えられるツバキですが、天然でも北海道を除く日本各地に見られます。
私の体験では、春の
四国、足摺岬の海岸線のウバメガシの背後に、多くの花でムッとするヤブツバキの群落を見つけることができました。  

京都の山では、春山に入って見つけるとほっとする赤い可憐なヤブツバキですが、北向きの斜面や谷部の暗い林内にみられます。 
ヤブツバキと同居するのはサカキで、少し明るい乾燥したところではヒサカキが優勢です。どちらもツバキ科の仲間です。                    
また標高の高い久多の八丁平では、初夏にかわいい白い花をつける樹皮がリョウブに似たナツツバキがあります。これもツバキの仲間ですが寒さに適応して落葉樹です。        

ナツツバキの仲間で私が忘れられないのは、サルスベリに似た樹皮のヒメシャラです。    
5月の屋久島で尾根筋のかわいいヒメシャラの花に気をとられ、浮き根につまずいて3mほど転げ落ち、岩でおもいっきりむこうずねを打って、30分ぐらい泣きながら動けなかったことがあります。   
それ以来忘れない樹木です。  痛い目をすると学習効果が上がるようですね。 

ヒメシャラ

ヒメシャラ

                                                                           また、ツバキで思い出すのは、蜜を求めてやってくるかわいいメジロです。
今では禁止されていますが小学生の頃鳥もちでメジロをとり、練り餌やミカン・蜂蜜を与えて、鳴き合せに熱中したことがあります。

ちなみにヤブツバキの葉はよく揉んでその汁は切り傷に効くといわれています。  
ツバキのなかまは、花だけでなく、チャノキ(茶)など有用な樹木が多く、良く知られた椿油は髪油として昔からよく使われており、いまは食用や美容オイルとして需要ができ、まさに「日本のオリーブ」が、地場産業の一つとして定着しつつあります。

                            

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