誕生日の木  6月20日

しばらくお休みしておりました「樹木ノート」ですが、今日から再開させていただきます。
よろしくお願いいたします


さて、「誕生日の花」とは良く聞きますが、「誕生日の木」もあるのをご存知ですか?

2003年に社団法人日本植木協会が制定されたそうで、まだ歴史は浅いですが、その日その日に最もふさわしい木が考え抜かれて選ばれたそうです。

今日、6月20日の誕生日の木は「ヤマボウシ(山法師)」です。


ミズキ科ミズキ属の落葉亜高木で、学名は「Cornus kousa」。
属名の「Cornus(コーナス)」は、ラテン語の「cornu(角)」が語源で「材質が堅い」にちなみ、種名の「kousa(クウサ)」は、昔の箱根地方の方言で、ヤマボウシ(山法師)を「クサ」と呼んだことからきているそうです。

和名である「ヤマボウシ」という名前の由来は、花の咲く様子から付けられたもので、淡黄緑色の丸い蕾(この部分が「花」で20~30個ぐらいが球状に集まっています)をお坊さんの頭に見立て、白い4枚の総苞片を頭巾に見立てると山法師に見えることから名づけられました。

中国名は「四照花」。枝一杯に花が咲いたときの、四方を照らす様子を表現しているそうです。
また、実の表面が桑のようにブツブツしているので「ヤマグワ(山桑)」とも言います。

国内では本州・四国・九州に分布し、山野のやや湿り気のある場所に自生しています。
樹高は5~15mくらいになり、花の色は白やピンクです。花言葉は「友情」。

秋には個性的なトゲのある真っ赤な実をつけます。
果肉は濃い黄色でマンゴーのような甘みがあり、シャリシャリとした食感で食べることができます。
また、ジャムや果実酒などにもよく加工されているそうです。

 

ヤマボウシは昔は 「柘(つみ)」 と呼ばれており、吉野に古くから伝わる「柘枝伝説(つみのえでんせつ)」はヤマボウシに纏わる伝説です。

昔々・・・・、吉野の里に ウマシネ(美稲)という名の男が居ました。
彼は川の漁を得意とし、日々、簗(ヤナ)を仕掛けて鮎をとっていました。
ある日、仕掛けを確認するため川へ向うと、そこには鮎ではなく、美しい木の枝が掛かっていました。
そのまま捨てるのは惜しいと思い、ウマシネは木の枝を家に持ち帰り、大切に飾りました。
すると、
その枝がいつのまにか美しい女性に変身したのです。
ウマシネは大層びっくりしましたが、その美女を妻に娶り、幸せに暮らしました。
後にその女性はウマシネと別れて天に飛び去っていきました。
 
そんなお話だそうです。
このとき流れてきた木の枝が「ヤマボウシ」と伝えられています。
 
 
  この夕(ゆうへ) 柘(つみ)のさ枝 流れ来(こ)ば
      梁(やな)は打たずて 取らずかもあらむ 
                         万葉集 巻3-386 作者未詳
 

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