白い花と連理木

今回の樹木ノートはスタッフの花音が担当させていただきます。


気温が上がり暖かくなってきた今日この頃、ニュース等で桜の開花情報や桜特集が見られるようになりました。そんな中自分も桜の様子を見に植物園へ行ってきました。但し、今回は、同じ桜でも、「田打ち桜」と呼ばれるコブシが目的です。

ソメイヨシノより少し早い3月下旬から4月上旬に開花するコブシ(辛夷)は、春の訪れを告げる里山の花木です。花からはレモンのような香りがします。
タウチザクラ(田打ち桜)という別名は、コブシの開花を農作業の準備の目安に使ったことに由来しています。


コブシを探しながら歩いていると、それらしい白い花が咲いているのを発見したので、写真を撮ろうと近づきました。
すると、「ハクモクレン」と「コブシ」という二つのネームプレートが掛けられていました。

どちらがこの木のネームプレートなのかが分からず、戸惑いながら観察してみました。

赤:コブシのネームプレートがついている枝  
黄:ハクモクレンのネームプレートがついている枝  
青マル:ハクモクレンの枝が出ているところ

図鑑で調べ、花はハクモクレンとコブシの2種類あることが確認できましたが、どう見ても枝が同じ木から出ており、根元は一本でした。

もう少し観察してみると、不自然に割れている部分がありました。青いマルで囲んだ部分です。

これを見て、学生時代に教えて頂いた、ある木の事を思い出しました。

それは「七色の木」という木です。

「七色の木」とはカツラの木にスギ、ケヤキ、イロハモミジ、フジ、カヤ、イタヤカエデという七種類の樹木が融合している不思議な木です。森の京都と呼ばれる京都府中部地域の京丹波にある長老ヶ岳(ちょうろうがたけ)に生えています。
実際に見に行ったことがあるのですが、その存在感は圧倒的で、周囲の渓谷と相まって神秘的な木だったのを覚えています。

七色の木のように木同士が融合している木を「連理木(れんりぼく、れんりぎ)」といいます。自然界では割とみられる現象で、樹木は隣接して生えた場合、成長と共に隣の木と融合することがあるのです。

つまりこのハクモクレンとコブシは連理木で、二つのネームプレートが掛けられている理由は、見た目は一本の木でもそれぞれの枝で樹種が違うからでした。

仕事においても、時に融合している木を処理することがあります。その際には、融合しているが故のさまざまな問題もあります。

これまで何度も連理木は見てきましたが、太い状態でしか見たことがなく、連理木は太い木同士でしか起きないと思っていました。なので、今回のように比較的細い状態、さらにはそれぞれの大きさに差がある中で融合しているのを見たのは初めてでした。
生長の競争に勝った樹木は、自分の周囲を独占出来るので他の植物を淘汰するはずだと思っていたのですが、「共に生きる」という選択肢を選んだこのコブシはとても珍しく驚きを隠せませんでした。

普段は連理木を「融合しているな~」ぐらいで終わってしまうことが多いのですが、今回、数ある選択肢の中からどうして共生を選んだのかを考えたことで、木から競争だけでなく共生という生き方もあることを学んだように思います。

京都植物園にある「連理の枝」 ムクノキとモミが融合した永遠の愛の象徴。 この木の下で愛を誓い半木神社でご報告するとその愛は永遠のものになると伝わる。

 

ハクモクレン(白木蓮) 別名:ハクレン ビャクレン
学名 Magnolia denudata  モクレン科 モクレン属 落葉高木 高さ:5~15m
花言葉 「自然への愛」「自然な愛情」「高潔」

コブシ(辛夷) 別名 タウチザクラ タネマキザクラ ヤマモクレン
学名 Magnolia kobus  モクレン科 モクレン属 落葉高木 高さ:8~25m
花言葉 「友情」

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