花は先に咲くか葉と同時か

しばらく間が空いてしまいました、スタッフの正貴です。すっかり梅雨本番といった天気でムシムシとした日が続きますが、皆さんはどうお過ごしでしょうか。天気予報でも繰り返し述べられていますが、雨が降ると地盤が緩くなりますので、土砂災害など常に警戒していきましょう。近辺の避難場所とそこへ至る経路の確認などしておくと良いかと思われます。

僕たちの仕事では雨でも山の中に入ったりするので、さらに注意が必要ですね。そうでなくても雨の中の作業は鬱陶しくてイライラしがちですので…。

さて、先日のことです。当ブログの「誕生日の木」などの記事を書いておられるスタッフさんから、こんな疑問を投げかけられました。「花が先に咲いてから葉っぱが出る木と、花と葉っぱが同時期に出る木がある。これらの違いは何か」
例えばサクラ。最も有名なサクラと言えばソメイヨシノですが、あれは葉っぱより先に花が咲きます。サクラと並び称されることが多いウメもそうですね。同じく春の花で言いますとモクレンなんかも花が先です。

一方で、花と葉っぱが一緒に出ている植物も多く見られます。「花と集合体」で取り上げられたギンヨウアカシア(ミモザ)もそうですし、サクラもソメイヨシノの他は花と葉っぱが同時の種類が意外と多いです。街路樹にも使われているヒラドツツジやヤマボウシなんかもそうですね。

これ、調べてみると、いろんな説が飛び交っています。「葉っぱは成長が遅いから花が先に咲いているように見えているだけ説」とか、「風で受粉する風媒花は花が先に咲くんだよ説」とか。

「花が先なのは風媒花 説」は、葉っぱがあると受粉の邪魔になるから、葉っぱは後回しで花が先に咲くんだよ、という説です。ですが先に挙げたソメイヨシノ、ウメ、モクレンは花が先に咲きますがどれも虫媒花で、虫に受粉を助けてもらっています。逆にモミジなんかは風媒花なんですが、こちらは葉っぱが出たあとで花が咲くんですね。

「見えているだけ説」にいたっては「絶対ちゃうやん」と素に戻ってツッコみたくなる気分になります。どう見ても葉っぱ出てへんやん、と。

もちろん、これらの説に当てはまる樹種もあることでしょう。しかしながら当てはまらない樹種が数多く存在するのもまた事実。納得がいかずさらに調べましたが、どうにも確たる理由はいまだ見つかっていないようでした。

しかしそれでは収まりが悪いので、普段から僕がお世話になっている先生に話を聞きに行きました。先生の持論としては、こうです。

「遠くまで飛ぶ虫に来てほしい木は花を先に咲かせる。近くの虫でいい木は葉っぱも一緒に出す」

例えば訪花昆虫の代表であるミツバチ。ミツバチは蜜を採集する範囲が広く、2~3kmほどの範囲で蜜を採集します。中でもマルハナバチという種のミツバチは10㎞近く飛行するという実験結果もあるほどです。こういった広い範囲で飛ぶ虫を呼ぶため、花が先に咲くようになっているのだとか。一方で花と葉を同時に出す種の木は近場を飛ぶ虫を頼ることが多いそうです。

先生のおっしゃる話が全ての植物に当てはまるかは分かりません。ですが、他の様々な説に並んで、この説を唱えてみるのも面白いのではないでしょうか。

次回はもう少しだけ、この話に関連させた話を続けようと思います。

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